古いお寺である鞍馬寺は、伝説的な鑑真の弟子によって創建され、毘沙門天や千手観音を祀っています。鞍馬山では鬼の伝説もあり、ある僧侶が鬼に襲われるが祈りによって助かるという話が残っています。これらの伝承から、鞍馬山は神仏の力による奇跡と恐れられています。
こんにちは歴史素人研究家ルファです。
助手のエヌです。
ね〜ぼです。
前回は鞍馬山に住む天狗について記事にしましたよね。
あの、平家との戦いで大活躍をする源義経が若い時、鞍馬山に住む大天狗、鞍馬僧正坊に修行をつけてもらった話をさせて頂きました。
天狗に修行してもらったからあんなに活躍できたんですね〜!
もちろん天狗の話は伝承ではありますが、義経と弁慶の出会いの時の義経の身のこなし方も、もしかしたら、鞍馬天狗の修行の賜物だったのかもしれませんね。
義経と弁慶の出会いってなんですか?
強いものから刀を奪ってコレクションしていた弁慶が、1000本目を奪うべく標的にしたのが義経だったんです。
対決したのは五条大橋!
弁慶は「太刀をよこせ!」と義経に襲いかかったのです。すると、義経は弁慶の分厚い胸を蹴って、身軽に飛び上がり、空中で太刀を交わし、弁慶を翻弄したらしいんです。
観念した弁慶は義経の部下になって生涯、義経忠誠を誓ったって話ですよ。
ええ〜!空中で太刀を交わすなんて、まさに天狗の修行の賜物ですね。
これは北朝時代から室町時代初期に成立したと言われる『義経記』(ぎけいき)という、源義経とその主従を中心に描かれた作者不詳の軍記物語に書かれていた事なんです。
さすがにフィクションも入ってると思いますが、面白いですよね。
そんな、義経に修行をつけた天狗が住んでいたという鞍馬山には他にもいろんな伝承が残っているんです。
今回は、天狗と同じぐらい有名なお話の千手観音や毘沙門天の伝承を記事にしますね。
千手観音って手が沢山ある菩薩様ですよね〜。
そうです。別名 千手千眼観自在菩薩(せんじゅせんげんかんじざいぼさつ)とも言われ、生きとし生けるものすべてを漏らさず救う、大いなる慈悲を表現する菩薩なんです。
千の手と手のひらの千の眼によって悩み苦しむ衆生を見つけては手を差し伸ばしてくれるとっても優しい菩薩様なんですよ。
へ〜手がいっぱいあるし、なんだか怖いイメージがありました〜
そんな千手観音様の鞍馬山の伝承ってなんなんですか?
そうですね。
今日の本題、鞍馬山の千手観音の伝承についてお話ししていきましょう。
鞍馬山にまつわる毘沙門天
鞍馬山にある鞍馬寺は、とても古いお寺で、伝説によれば鑑真という高僧の弟子が創建しました。このお寺では、毘沙門天像や千手観音像などが古くから祀られています。
鑑真は、8世紀に中国の唐代からやってきた高僧で、正しい仏教を広めるために日本に来ました。彼は9年間にわたって5度も渡航に挑戦しましたが、すべて失敗し、過労で病気にかかり失明してしまいました。しかし、鑑真が日本仏教にもたらした功績は非常に大きかったのです。
さて、鞍馬山には実は鬼が住んでいるという伝承もあります。平安時代の「今昔物語集」には、興味深い話が残されています。
昔々、ある僧侶が鞍馬寺で修行している最中に、山の中で一夜を過ごすことになりました。夜の山はとても危険ですが、僧侶は火を焚いて夜明けを待っていました。すると、暗闇から美しい女性が現れました。彼女は黙って僧侶の近くに座りました。
当然、僧侶は疑問に思ったでしょうが、その女性から感じられる邪気によってすぐに正体に気づきました。実はその女性は、人間の姿に化けた鬼だったのです。山の鬼は美しい女性の姿に化けて、人を油断させ、襲うことが常でした。
僧侶は持っていた杖で女性を攻撃しました。すると、女性は本当の姿である鬼の姿に変わり、僧侶を食べようと襲いかかってきました。僧侶は必死に逃げましたが、やがて追い詰められてしまいました。喰われる寸前、僧侶は毘沙門天に祈りを捧げました。「毘沙門天様、どうか助けてください」と。
すると驚くべきことに、近くの枯れ木が突然倒れ、鬼はその下敷きになって死んでしまったのです。僧侶は神仏の助けによって辛くも生き延びることができたのです。
また、「拾遺往生伝」という書物には、鬼に襲われた僧侶が鞍馬寺の初代別当である峯延という人物であるという話もあります。この書物には、大蛇に襲われた峯延が毘沙門天に祈ったところ、毘沙門天が現れて助けてくれたという話も残されています。
これらの伝承から、鞍馬山が天狗だけでなく、さまざまな怪異が現れる場所として畏怖されていたことがわかります。
鞍馬山って天狗伝説の他にもそんな伝承があったんですね〜
鞍馬山はそれだけじゃないんですよ。
他にも、降り注ぐ宇宙のパワーを得られる金剛床(こんごうしょう)と呼ばれるスポットもあるんです。
そこには六芒星を表した石があり、鞍馬寺の本尊、尊天の力が天から降り注ぐと言われている場所なのです。
この前に並んで、中心で両手をあげることで参拝客はみんな、
パワーをもらう事ができるんですって。
へ〜、それは僕も知らなかったです。
ちなみにまだありますよ!
魔王が降り立った場所の魔王殿というものです。
ここもかなりのパワーが得られるとされるスポットで、鞍馬寺の本殿からさらに山の奥に進むとあるんです。
魔王尊は16歳から年をとることがない永遠の命を持っているらしいのですが、なぜか、本殿に祀られている像は、ひげを生やして鼻が高く、羽根が生えているという翁の姿。
見た感じは天狗そのものでした!
多分、伝承が混ざり合って、魔王イコール天狗という感じになったんでしょうね。
エヌさん詳しいですね〜・
もしかして鞍馬山宣伝担当の方ですか?
いえいえ、助手ですから!
補足ありがとうございます。
でも、一つの山でこれだけの伝承があるのも珍しいですよね。
京都に都があった平安時代は、優雅な都とは裏腹に、山には異界なものが溢れていると真剣に恐れられていました。
そのため、陰陽師のような職業があったり、方角を気にした都市作りをされたりしてました。
鞍馬山は、まさに京都に近い山としてそういった伝承が多くあったんでしょうね。
確かに、山は、けもの道に足を奪われて大けがをしたり、野盗に襲われて金品を奪われることもあったりと、命を落とすケースも珍しくなかったようですもんね。
京の貴族たちからすれば、鞍馬山は異界の地で、鬼や怪物がいる危険な場所と噂されたのも無理なさそうです。
本日の記事はいかがでたでしょうか?
鞍馬山には、天狗や千手観音、さらには魔王まで多くの伝承が残り、また秋には紅葉が有名なスポットとなってます。
ぜひ行かれる際は、そんな事も思いながら行くと楽しめるかもしれませんね。
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